気候変動への対応

 ヤマダホールディングスグループは、持続可能な社会の実現において、気候変動への対応を重要な課題のひとつと認識しています。事業活動全体に関わるCO2排出量の削減を進めるべく、TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示の充実を図るとともに、事業活動を通じた対策を進めています。

CO2排出量削減に向けた取り組み

 当社グループでは、事業活動に伴うCO2排出量の削減を推進するために、省エネ家電への買い替え促進によるお客様の製品使用段階でのCO2排出量削減にも積極的に取り組んでいます。また、2024年3月期にはCO2排出量削減目標として、2031年3月期までにスコープ1,2における温室効果ガス排出量を2021年3月期比で42%削減するという目標を定めました。

●CO2排出量(スコープ1,2)

 ヤマダホールディングスグループにおける2024年3月期のスコープ1,2の総量は、前期比5千t減の279千t-CO2となりました。

CO2排出量(スコープ1,2)

スコープ1およびスコープ2におけるCO2排出量削減
排出量削減に向けた取り組み

●電力使用によるCO2排出量

 ヤマダホールディングスグループでは、事業活動に伴うCO2排出量削減の取り組みを積極的・継続的に行っています。電力使用によるCO2排出を削減するため、全体の3.74%を再生可能エネルギーで賄っています。また2022年6月より政府からの節電要請を受けてヤマダデンキでは店内の節電にも取り組んでいます。天井照明の間引きや展示品の電源オフを行うことで、2024年3月期の電力使用によるCO2排出量を2023年3月期比で約1千t削減しました。

電力使用によるCO2排出量※1,2,3

電力使用によるCO2排出量

電力使用量全体に占める再生可能エネルギー率

電力使用量全体に占める再生可能エネルギー率
電力使用量全体に占める再生可能エネルギー率

電力使用による延べ床面積当たりCO2排出量※1,2,3

電力使用による延べ床面積当たりCO2排出量
電力使用による延べ床面積当たりCO2排出量

●CO2排出量(スコープ3)

 ヤマダホールディングスグループでは、事業活動全体の環境負荷低減を図るため、サプライチェーン全体でのCO2排出量を算定しています。2024年3月期のスコープ3のCO2排出量のうち、販売した製品(カテゴリ11)が全体の77%と最も多く、次に購入した製品・サービス(カテゴリ1)が全体の20%となっています。今後もサプライチェーン全体のCO2排出量の把握と削減を進めていきます。

スコープ3 CO2排出量のまとめ(2024年3月期)

スコープ3 CO2排出量のまとめ(2021年3月期)

スコープ3 CO2排出量の内訳

スコープ3 CO2排出量の内訳

エネルギー使用量削減の取り組み

 ヤマダホールディングスグループでは、各事業所および店舗でのLED化などの省エネ活動や、デマンドコントローラーを活用した設備・時間ごとの電気使用量分析アプリによる電気量の見える化を行っています。店舗開発においてもエネルギー使用量の削減を考慮しています。ヤマダデンキでは新店舗を開発する際に、平屋づくりにすることで、2階へのエスカレーターやエレベーターを設置する必要がなくなり、エネルギー使用量を削減することができます。また、窓の数を減らすことによる断熱性の向上や、店舗の外灯を水銀灯からLEDに変更することで、さらなるエネルギー使用量の削減を図っています。平均築年数が23年の店舗と8年の店舗の坪あたりの電力使用量を比較すると、平均築年数が8年の店舗の方が約15%の電力削減がありました(2023年3月時点)。

エネルギー使用量

エネルギー使用量
エネルギー使用量

再生可能エネルギーの利用拡大

 ヤマダホールディングスは2009年3月期よりグリーン電力を利用開始し、高崎にある本社社屋は、使用電力の100%がグリーン電力です。また、2023年6月にはヤマダ東日本リユースセンター群馬工場に太陽光パネルを設置し、工場稼働における使用電力の約55%を賄っています。そのほか店舗の屋上などを利用した太陽光発電システムにより、2024年3月期は49,377千kWhを発電し、売電を通じて環境負荷低減に貢献しました。

※ 対象グループ会社:ヤマダデンキ、ヤマダホームズ、秀建、ホクシンハウス、ハウステック、インバースネット、東金属、ビー・ピー・シー

New神栖店
CIC藤岡工場

物流における省エネルギーの推進

 ヤマダデンキの物流では、委託会社や協力会社にアイドリングストップの協力を要請しています。2024年3月期の実施率は98%以上と高い水準を維持しています。また、積載量の工夫による使用車両数の削減や、店舗間移動の効率的な物流システムを活用した商品配送における車両の走行距離を短縮、店舗で使用する業務用車両としてEV車5台を試験的に導入し効果検証を行うなど、環境に配慮した物流を推進しています。

事業を通じた取り組み

●省エネ家電の普及促進

 ヤマダデンキでは、豊富な商品知識をもった社員やセールスエンジニアが接客時に、省エネ家電への買い替えを推奨しています。また、該当商品近くに「統一省エネラベル」を掲示し、お客様が省エネ家電をすぐに見つけられるようにしています。2024年3月期の省エネラベリング制度における省エネ基準達成率100%以上の家電製品(テレビ、冷蔵庫、エアコン)販売台数構成比は42.8%で、目標の前期比増を達成しました。

省エネ家電の普及促進

●災害対策商品の販売

 地球温暖化の深刻さが増し、日本国内で気候変動に起因する自然災害が多発することが予想されており、災害対策商品への関心が一段と高まり、需要が高まる可能性があります。

 当社グループは、これらの自然災害リスクに対し、災害対策商品の販売を促進することが気候変動対策への機会とも捉えています。

 2024年3月期はヤマダデンキにおけるポータブル発電機や家庭用蓄電地、防災グッズなどの売場展開を直営全店舗に拡充した効果もあり、販売金額は1,988百万円で前年比増の結果となりました。

省エネ家電の普及促進

●YAMADA GREENマークの導入

 ヤマダホールディングスグループは、2021年7月に環境への取り組みのシンボルとして、YAMADA GREENマークを作成しました。GREENの5文字には、Global(包括的)、Resource(資源)、Ecology(資源環境保護)、Evolution(進化)、Next(次の時代へ)、の意味が込められており、資源循環社会の実現と持続可能な社会づくりへのさらなる貢献の決意を表しています。

 また、これに併せてヤマダホールディングス独自の「環境基準」を満たした商品や取り組み、リユース商品などにYAMADA GREENマークを表示するYAMADA GREEN認定制度を制定しました(省エネ家電は対象外)。2024年3月期のYAMADA GREEN認定商品の販売金額は3,843百万円となり、目標である前期比増を達成しました。

YAMADA GREENマーク

アウトレット店での案内ポスター

YAMADA GREEN認定商品の販売金額

●「ZEH」率向上の推進

 ヤマダホームズは、「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及に向け、断熱性の向上、先進的な省エネ機器や太陽光発電の採用など、環境に配慮した住宅・サービスの提供に努めるとともに、不要なエネルギーを使わないライフスタイルの啓発を進めることで、地球環境の保全と、お客様の快適で豊かなくらしの実現を目指しています。また、ヤマダホームズが販売する住宅の「ZEH」率は、2024年2月期は41%に達しました。

ヤマダホームズが販売する住宅の「ZEH」率

「ZEH」率
ヤマダホームズが販売する住宅の「ZEH」率

●太陽光発電システムを導入したレジリエンス住宅の提供

 ヤマダホールディングスグループは「太陽光発電システム+蓄電池」の機能を備えたレジリエンス住宅の普及を目指し、新築住宅のみならず、リフォーム提案においても太陽光パネルの搭載を積極的に推進しています。また、「HEMS」のモニターで太陽光発電システムの発電量や、電力使用量などを見える化したことで、創ったエネルギーを無駄にすることなく、省エネ意識を高める効果が期待できます。

 2031年3月期までに太陽光パネルの出荷数50,000枚とする目標に対し、2024年3月期は33,054枚を出荷しました。今後もヤマダホームズの「YAMADAスマートハウス」やヒノキヤグループのソーラーシステムとV2Hを組み合わせた「エネルギーレボリューションZ」のご提案を通じて、安心・安全な社会の構築に貢献していきます。

太陽光パネルの出荷量